フルートは、金属管から流れる透明感のある音色が魅力の楽器です。
その優雅な響きに憧れて始める人も多いですが、実際に吹いてみると「音が鳴らない」「音が安定しない」と感じる初心者も少なくありません。
フルートは見た目のシンプルさに反して、息の角度・口の形・姿勢など細かいポイントの積み重ねで音が作られる繊細な楽器です。
正しい基礎を身につけることで、誰でも美しく響く音を出せるようになります。
本記事では、フルートの正しい吹き方の基本から、美しい音を出すコツ、上達のための練習法までを詳しく解説します。
フルートを吹く前に知っておきたい基礎知識
フルートは、息を楽器の吹き口に当てて音を出す「木管楽器」に分類されます。
金属でできているため一見金管楽器に見えますが、音の出る仕組みはリードを使わない“エアリード”方式です。
息の当て方ひとつで音の高さや響きが変わるため、他の管楽器以上に繊細なコントロールが求められます。
また、フルートは構え方や姿勢によっても音の方向が変化します。
息を通すというより、息を「当てる」感覚を意識することが、正しい吹き方の第一歩です。
フルートの正しい姿勢と構え方
美しい音を出すためには、まず姿勢を整えることが大切です。
背筋をまっすぐ伸ばし、肩や腕の力を抜いた自然な姿勢で構えましょう。
猫背になると肺が圧迫され、息が十分に入らなくなります。足は肩幅に開き、体の軸を安定させることがポイントです。
フルートは体のやや右側に構え、顔の前ではなく少し斜めに位置させます。
顎を引きすぎると音がこもり、上を向きすぎると息が安定しません。
下唇を歌口の縁に軽く乗せるようにして、楽器を支えるイメージを持ちましょう。
正しい姿勢は見た目にも美しく、長時間演奏しても疲れにくくなります。
きれいな音を出すための息の使い方
次に、きれいな音を出すための息の使い方についてご紹介します。
1.息の方向とスピードを意識する
2.アンブシュア(口の形)を整える
3.腹式呼吸で安定した音を支える
①息の方向とスピードを意識する
フルートの音は、息の「量」ではなく「角度とスピード」で決まります。
勢いよく息を吹き込むと音が割れ、逆に弱すぎると音が出ません。
吹き口の縁に対してやや斜め下方向に息を当てるイメージで、細く長く息を流すのが理想です。
紙切れを軽く飛ばすような感覚で、息をコントロールできるようになると安定した音が出せます。
②アンブシュア(口の形)を整える
フルートでは、唇の形=アンブシュアが音質を大きく左右します。
口角を軽く引き上げ、上下の唇を薄く閉じるようにして息の通り道を作りましょう。
唇の中央に小さな穴を開け、そこから息をコントロールします。
口の開け方が広すぎると音が拡散し、狭すぎると息が詰まってしまいます。
鏡を見ながら角度を確認し、息がまっすぐ吹き口に当たっているかを確認する習慣をつけると良いでしょう。
③腹式呼吸で安定した音を支える
フルートを演奏する際は、胸ではなくお腹を使って息を支える「腹式呼吸」が重要です。
吸うときにお腹を膨らませ、吐くときにへこませるイメージを持ちましょう。
腹部の筋肉を使うことで、息のスピードや量をコントロールでき、長いフレーズでも息切れせずに演奏できます。
音をコントロールするための練習法
次に、音をコントロールするための練習法についてご紹介します。
1.ロングトーン練習
2.スケール(音階)練習
3.タンギングの練習
①ロングトーン練習
フルート上達の基本中の基本が「ロングトーン」です。
1つの音をできるだけ長く、均等な息で吹き続ける練習です。
息のムラや姿勢の崩れを確認しながら、音の揺れが少なくなるよう意識します。
1日5分でも続けることで、音の安定感と響きが格段に向上します。
②スケール(音階)練習
音の流れをスムーズにするには、スケール練習が欠かせません。
ゆっくりとしたテンポで音階を上昇・下降させ、指の動きと息の流れを一致させるよう意識します。
焦らず丁寧に行うことで、指使いが自然に身につき、メロディを滑らかに演奏できるようになります。
③タンギングの練習
音を区切る技法である「タンギング」は、リズム感と表現力を磨く練習です。
「トゥ」「ドゥ」など舌の動きを使って音を区切り、リズムを明確にします。
舌を強く当てすぎず、軽く触れるように意識すると、やわらかく自然な音が出せます。
初心者がつまずきやすいポイント
最後に、初心者がつまずきやすいポイントについてご紹介します。
1.音が出ない・出づらい場合
2.高音がかすれる・割れる場合
3.音程が不安定な場合
①音が出ない・出づらい場合
フルート初心者が最初に悩むのが「音が出ない」という問題です。
原因の多くは息の角度と唇の形にあります。
吹き口の半分を唇で覆うようにして、息をまっすぐではなく、やや下向きに吹きかけてみましょう。
最初は「ピッ」という高い音が出ればOKです。
そこから徐々に息を安定させていくことで、やわらかい音へと変化していきます。
②高音がかすれる・割れる場合
高音域で音が割れる場合は、息のスピードが速すぎる可能性があります。
息を強くするのではなく、角度を変えて吹き口の位置を少し調整することで改善できます。
また、唇を少しすぼめて息の流れを集中させると、高音がクリアに響きます。
③音程が不安定な場合
音が上がったり下がったりする場合は、姿勢と息の方向を確認しましょう。
姿勢が前のめりになると息が下に流れ、音程が下がりやすくなります。
逆に顎を上げすぎると音程が高くなり不安定になります。
正しい姿勢を意識することで、音の揺れを抑えられます。
フルートを習うならイナモリ・メソッド研究会東京本部教室へ
ここまで、フルートの正しい吹き方と上達のコツについて解説してきました。
要点を以下にまとめます。
・美しい音を出すには、正しい姿勢・息の角度・アンブシュアが基本
・ロングトーン・スケール・タンギングなどの基礎練習が上達の鍵
・毎日の短時間練習と姿勢の確認が安定した音づくりにつながる
これらを意識することで、初心者でもフルートの魅力を最大限に引き出すことができます。
とはいえ、独学では自分の吹き方のクセに気づきにくいこともあります。
正しい基礎を早く身につけたい方は、専門講師の指導を受けるのがおすすめです。
イナモリ・メソッド研究会東京本部教室では、呼吸・姿勢・音作りの基本を一人ひとりに合わせて丁寧に指導しています。
「音が出ない」「もっと美しい音を出したい」という方は、ぜひお気軽に体験レッスンにお越しください。