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おんがく交差点【ジャズピアニストにして数学者!?】

8月30日、テレ東の番組「おんがく交差点」で、「ジャズピアニストにして数学者!?」と題された回が放送されました。ゲストは数学者でもあるジャズピアニスト、中島さち子さん。国際数学オリンピックで日本人女性初の金メダルを獲得した経歴の方が、なぜ鍵盤の前に座ることを選んだのか——演奏をする立場から見ると、とても気になるテーマですよね。…

おんがく交差点【ジャズピアニストにして数学者!?】

今日は番組で触れられた内容をヒントに、私たち鍵盤奏者が「数学と音楽の共通点」から日々の練習に持ち帰れることを、一緒に紐解いていきたいと思います。肩の力を抜いて、お付き合いくださいね。

作曲家から数学へ、そしてジャズへ

番組の内容によると、中島さんは4歳からピアノの練習より作曲に夢中になったと語っていたそうです。中学校2年生でピアノから数学へ方向を切り替え、高校2年生で国際数学オリンピックに出場、日本人女性初の金メダルに輝いたというから、その道のりは想像を絶しますよね。

その後は東京大学理学部でジャズに出会い、のめり込んでいったというのですから、ご本人の好奇心には脱帽です。特に印象に残ったのは、音数が少ないジャズに惹かれたというエピソード。ピアノは一人で和音もメロディもリズムも担える楽器ですが、ジャズではむしろ「鳴らさない勇気」が求められますよね。数学で余分な変数を削ぎ落として本質を見抜くプロセスと、どこか重なるものがあるのかもしれません。鍵盤の上で「何を鳴らさないか」を選ぶ感覚——実はこれ、私たちが日々向き合っているテーマそのものです。

童謡から始める「構造の拡張」

番組内では、中島さん自身がアレンジした「赤とんぼ」「こきりこ節」、オリジナル曲の「希望の花」、モーツァルトの「音楽のサイコロ遊び K.516f」が演奏されました。童謡や民謡をジャズのアレンジで弾くという試みは、私たちにとっても実践的なヒントに満ちています。

実は、童謡ほどジャズアレンジの素材に向いているものは、なかなかありません。メロディがシンプルな分、コード一つ一つの変更が耳に届きやすいからです。もしよければ、お手元にある「赤とんぼ」「ふるさと」「さくらさくら」などで、次の手順を試してみてください。

  • まず原曲のコード進行を確認します(通常はI、IV、V、Iのようなダイアトニックコードです)
  • その中の1ヶ所——たとえばIVコード——だけをセブンスコード(IV7)に置き換えます
  • 右手でメロディを弾きながら、左手の和音がどう響くか、呼吸を感じるように耳を澄ませてみます

たったこれだけで、曲の表情はずいぶんと深まります。数学で言えば、定理の中の1行を少しだけ一般化してみる——そういう小さな拡張の感覚に似ていますよね。指の腹で和音の重みを確かめながら、ゆっくりと味わってみてください。

番組では、言葉が通じなくても数学を通じて意思疎通ができるという話題も触れられていたようです。これは音楽にも全く同じことが言えますね。言葉が通じない聴衆の前でも、4分の4拍子とブルースのコード進行が共有できれば、セッションは自然と始まります。私も昔、スタジオで初めての方と合わせる時、コード進行だけで「今夜はマイナーKeyで、こんな雰囲気ですね」と会話が成り立ったことが何度もありました。構造を共有できるからこそ、即興が生まれる——あの瞬間こそが、ジャズの本質のように感じます。

まずは1小節だけで十分です

もし今日の練習で何から始めようか迷っているなら、1曲まるごと取り組もうとしなくても大丈夫。1ヶ所、たった1ヶ所のコードだけで十分です。知っている曲の構造を少しだけずらしてみる。数学者が定理の拡張を楽しむように、私たちも鍵盤の上で同じことを楽しんでみませんか。

まずはその1小節だけ、指の腹で和音の重みを確かめながら、ゆっくりと。きっと、これまでと少し違う景色が見えてくるはずです。

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