
練習場所が変わると、最初に見直したいこと
テンポを上げると左手が動かない、フレーズが途切れてしまう。そんなとき、指や理論だけでなく、実は部屋の響きや周囲への気遣いが集中力に影響していることがあります。
今回のニュースでは、秋田市旭北寺町にあった「青少年音楽の家」が、約30年の歴史を閉じたことが伝えられています。秋田青少年オーケストラなどの活動拠点として使われ、地域の音楽文化や若手の育成に関わってきた場所です。閉館の背景には、設備の老朽化や各団体のメンバー減少が挙げられています。
一方で、8月からはオーケストラのOBが秋田市保戸野に後継となる練習場所を用意しました。英語教室の一室に防音対策を施したという点は、専用ホールだけが音楽の居場所ではないことを静かに示しています。部屋の用途が変わっても、音を出し、聴き合い、続けるための工夫は残せるわけです。
ピアノ練習では「音量」より先に環境を確認する
新しい部屋で鍵盤に向かうとき、私はまず大きな音を出さず、指の腹でゆっくりスケールを弾いてみます。これは上手に弾くためというより、部屋がどのように音を返してくるかを確かめるためです。
防音対策がある場所でも、実際の利用条件や利用時間、置かれている楽器、同時に練習できる人数などは、報道だけでは分かりません。これから利用を考える人は、次の点を主催者や管理者に確認しておくと安心です。
- ピアノや電子ピアノを使えるか
- 個人練習が可能か、団体利用が中心か
- 利用できる曜日や時間帯
- 音量に関するルール
- 譜面台や椅子など、備品の有無
- 予約方法と利用料金
ここで大切なのは、条件を細かく詰めることが目的にならないことです。あなたが一番続けやすい時間に、無理なく鍵盤へ向かえるか。そこを軸に考えてみましょう。
私も以前、慣れない部屋でセッション前の練習をして、響きの少なさに戸惑ったことがあります。いつも通りの音量で弾いているのに、自分の音が返ってこない。焦って指を強く押し込み、呼吸まで浅くなってしまいました。そんなときは、まず片手だけ、さらに1小節だけに戻ると、部屋との距離感が少しずつ整ってきます。
「場所が変わる」ことを練習の組み立て直しに
「青少年音楽の家」は、旧産業会館の解体によって練習場所を失った秋田青少年オーケストラの保護者らが、新たな場として県民の善意も受けながら1997年に完成させたと報じられています。そこから巣立った奏者の中には、プロとして国内外で活動する人もいるそうです。
この経緯を読むと、練習場所は最初から完成された施設として存在するとは限らないのだと分かります。必要になった人たちが場をつくり、使う人が音を重ね、時間をかけて意味が育っていく。英語教室の一室を防音対策して引き継ぐ今回の動きも、その延長にあるものとして受け止められます。
ジャズピアノの練習でも、環境が変わったときはメニューを少し軽くしてみましょう。最初の5分は、呼吸を止めずにコードを一つずつ鳴らす。次の5分は、左手のボイシングだけを小さな音で確認する。その後に短いフレーズを弾き、音の残り方や自分の力みを確かめる。部屋に合わせて練習を組み替えると、思い通りに響かないことも、練習の妨げではなく観察材料になります。
現時点で報じられているのは、閉館と新たな練習場所の提供、防音対策が行われたことまでです。利用条件などの詳細は、今後の案内を確認する必要があります。あなたの街でも練習場所が変わるときは、なくなったことだけに目を向けず、誰が、どんな工夫で次の音を支えようとしているのかを見てみてください。
まずは今いる部屋で、この1小節だけを静かに弾いてみましょう。それで十分です。
seoTitle: 青少年音楽の家閉館、練習場所をつなぐ工夫
metaDescription: 秋田市の音楽拠点閉館と新たな練習場所の提供を、ジャズピアノの練習環境と音の聴き方から考えます。
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