アドリブとフレーズ

ブルーノートスケールをジャズらしく響かせる♭5の解決法と練習手順

テンポが上がると左手はなんとか動くのに、右手のフレーズが急に平らになる。ブルースらしい音を入れたつもりなのに、♭5の音だけが浮いて聴こえてしまう。そんな経験はありませんか。…

ブルーノートスケールをジャズらしく響かせる♭5の解決法と練習手順

ブルーノートスケールは、音を並べて弾くだけでジャズらしくなる便利な音階です。ただし、♭5を長く伸ばせば自然に哀愁が出る、というものではありません。ピアノでは音を曲げられないので、♭5をどこへ向かわせるか、前後の音とどう結びつけるかが表現の中心になります。

ここでは、ブルーノートスケールの構造を確認しながら、♭5を経過音として解決する方法、鍵盤でベンド感を表現するクラッシュ・ノート奏法、そしてブルース進行でのアドリブの組み立て方を、順番に見ていきましょう。難しい理論を一度に覚える必要はありません。まずは右手の一音を、呼吸のある音に変えていけば大丈夫です。

ブルーノートスケールは、マイナーペンタトニックに一音を加えたもの

ブルーノートスケールは、マイナーペンタトニックスケールに♭5、つまり減5度の音を加えた6音の音階です。

Cを主音にした場合、構成音は次のようになります。

音の役割音名Cから見た度数
主音1度
短3度E♭♭3度
4度4度
減5度G♭♭5度
5度5度
短7度B♭♭7度

つまり、Cブルーノートスケールは「C・E♭・F・G♭・G・B♭」です。

一方、Cマイナーペンタトニックスケールは「C・E♭・F・G・B♭」ですから、違いはG♭が加わるかどうかだけです。この一音が、スケール全体に濁りと緊張感を与えます。マイナーペンタトニックが少し落ち着いた陰影を持つのに対して、ブルーノートスケールは、そこへ一瞬だけ足元が揺れるような感触が加わります。

この違いを、指で弾きながら感じてみてください。CからE♭、F、G、B♭と上がると、音の流れは比較的素直です。そこへG♭を挟むと、FとGの間に細い影が差し込みます。この影のような音が、いわゆるブルーノートです。

ただし、ここで一つ覚えておきたいことがあります。ブルーノートは、本来、平均律の鍵盤上にきれいに固定された音だけではありません。歌やギター、管楽器では、♭3度や♭5度、♭7度をわずかに揺らしたり、音程の途中を通ったりしながら、複雑なピッチ感を作ります。

ピアノでは、鍵盤を押したあとに音程を滑らかに曲げることはできません。そのため、♭3度や♭5度を半音下げた音として整理し、前後の音との動きで、耳の中にベンド感を作っていきます。鍵盤でブルーノートを弾くときは、音そのものよりも、音の入り方と出ていき方を聴いてみましょう。

マイナーペンタトニックとの違いを耳で確かめる

理論上の違いは一音ですが、演奏上の役割はかなり変わります。

マイナーペンタトニックでは、五つの音をどの順番で並べても、比較的まとまりやすいでしょう。もちろんコードとの関係によって響きは変わりますが、音階の中に強い摩擦を生む音が少ないため、短いフレーズを作る練習には向いています。

ブルーノートスケールでは、G♭が入ることでフレーズに強い方向性が生まれます。G♭は、FとGの間に置くと自然に聴こえますが、そこに長く留まると、コードや伴奏によっては不安定さが前面に出ます。

この性質を、次のように整理すると分かりやすいですよね。

  • マイナーペンタトニックは、音の材料を覚えるための土台になりやすい
  • ブルーノートスケールは、土台に緊張感を加える音階として使いやすい
  • ♭5は、主役として長く鳴らすより、4度や5度へ向かう途中で活きる
  • ♭3度は、ナチュラル3度との行き来によって、声の揺れに似た表情を作れる
  • ♭7度は、ブルースの進行全体に共通する色として扱いやすい

まずはCのマイナーペンタトニックを、ゆっくり四分音符で弾いてみましょう。そのあと、FとGの間にG♭を加えます。スケールを速く上下するよりも、G♭を入れた瞬間に音の空気がどう変わったかを聴くことのほうが大切です。

♭5は「長く置いて格好よくする音」ではなく、「次の音へ向かう途中で意味を持つ音」です。

♭5を単なる不協和音にしない三つの解決法

ブルーノートスケール ピアノ 使い方を考えるとき、最初に取り組みたいのはスケールを一気に弾くことではありません。♭5を、どの音へ解決させるかを決めることです。

Cブルーノートスケールの♭5はG♭です。最も基本的な行き先は、すぐ隣にあるFまたはGです。どちらへ進むかで、フレーズの表情が変わります。

1. G♭からGへ進む

G♭からGへ半音上がる動きは、緊張が明るい方向へほどけるように聴こえます。短い上行フレーズに入れると、ブルースらしい引っかかりが生まれます。

たとえば、右手で次の音をゆっくり弾いてみてください。

C―E♭―F―G♭―G

このとき、G♭を強く叩きすぎないようにします。G♭を大きなアクセントにすると、そこだけが突出してしまいます。むしろG♭は少し軽く、Gへ向かう通過点として置くほうが、音楽の流れが保たれます。

指使いは手の大きさや前後のフレーズで変わりますが、指の腹を鍵盤に近づけ、手首を固めずに弾いてみましょう。G♭からGへ移る瞬間に、指先だけで押し込まないことがコツです。手の重さが一つの方向へ流れると、二音の関係が自然になります。

三連符にすると、よりはっきりと経過音らしさが出ます。

F―G♭―G

この三音を一拍の中に入れ、Gで少し落ち着かせます。最初はメトロノームを使わず、呼吸に合わせて構いません。Fで息を吸い、G♭を通り、Gで息を吐くような感覚です。

2. G♭からFへ戻る

G♭からFへ半音下がる動きは、音が沈み込むような表情になります。上行してGへ解決する場合よりも、少し内向きで、ためらいを含んだ響きです。

G―G♭―F

この順番で弾くと、まず5度を提示し、そこから♭5を経由して4度へ降りる形になります。ブルースの伴奏に合わせると、右手のフレーズに引っかかりが出ます。

ここでもG♭を長く伸ばさず、FまたはGへ着地させることがポイントです。G♭で止まってしまうと、フレーズが一度閉じたように聴こえたあと、どこへ進むのか分からなくなります。逆に、短く挟んで次の音へ渡せば、濁りが表情として働きます。

3. E♭とEを行き来させる

ブルーノートらしさは、♭5だけで作るものではありません。♭3度とナチュラル3度の関係も、非常に大切です。

Cを主音とする場合、E♭が♭3度、Eがナチュラル3度です。E♭とEをすばやく連続して弾いたり、ほぼ同時に打鍵したりすると、声や管楽器が音程を揺らしているような感触が生まれます。

ピアノでは、一つの鍵盤の音を押したまま音程を変えることはできません。そこで、次のような動きを使います。

  • E♭を先に弾き、すぐEへ移る
  • E♭とEを短く連打する
  • E♭とEを同時に軽く鳴らし、Eへ解決する
  • E♭を少し強く、Eを少し長くして、到着点を作る

このとき、すべての音を同じ強さで弾くと、単なる半音の反復に聴こえやすくなります。E♭を問いかけ、Eで返事をするように、役割を分けてみましょう。

鍵盤でベンド感を作るクラッシュ・ノート奏法

ギターやサックスのブルース表現を聴いていると、音程がまっすぐではなく、少し擦れながら目的の音へ寄っていく瞬間があります。ピアノではそのまま再現できませんが、近い感触を作る方法としてクラッシュ・ノート奏法があります。

クラッシュ・ノートは、ブルーノートと解決音を素早く連続して叩いたり、同時に打鍵したりする奏法です。Cのブルースであれば、E♭とE、G♭とGの組み合わせが基本になります。

E♭とEで声の揺れを作る

まずは右手の二本の指を使い、E♭とEを同時に軽く押さえてみましょう。きれいな和音にしようとせず、二つの音がぶつかる感じをそのまま受け止めます。

次に、E♭を少し先に、Eをほんの少しあとに鳴らします。完全に同時でなくても構いません。耳には、E♭からEへ滑り込むような印象が残ります。

練習の順序は、次のようにすると無理がありません。

1. E♭とEを同時に弱く鳴らし、響きを聴く

2. E♭を先に、Eをあとに弾く

3. E♭を短く、Eを少し長く保つ

4. 四分音符の中で一度だけ使う

5. フレーズの終わりやアクセントに置く

最初から速いテンポで連打すると、指が隣の鍵盤に引っかかりやすくなります。指の腹を立てすぎず、鍵盤の表面を撫でるような気持ちで動かしてみてください。

G♭とGで4度から5度へ進む

G♭とGのクラッシュは、より強い緊張感を持ちます。特にFからGへ進む途中にG♭を置くと、♭5が経過音として働きます。

たとえば、次のような三連符を弾きます。

F―G♭―G

ここでG♭を単独の長い音にせず、FとGの間に挟みます。テンポが遅いときは、Fを少し長く、Gを着地点として聴かせると、流れが分かりやすくなります。テンポが上がったときは、三音を一つの身振りとしてまとめます。

私たちの指は、速く弾こうとすると、つい全ての音を均等に並べたくなりますよね。でもブルーノートの面白さは、均等でないところにあります。どの音を少し重くし、どの音をすぐ手放すか。その小さな差が、フレーズを人の声に近づけます。

伴奏との衝突を怖がりすぎない

ブルース進行では、左手やベースが長3度を含むコードを弾いている場面でも、右手のE♭が一瞬入ることがあります。この短い衝突が、ブルースの色になります。

ただし、衝突している音を長く伸ばすと、意図した緊張ではなく、単にコードと合わない音として聴こえる場合があります。クラッシュ・ノートは、衝突を消す奏法ではなく、衝突に時間の短さと方向性を与える奏法だと考えてみましょう。

右手のE♭を弾いたら、Eへ動く。G♭を弾いたら、FかGへ動く。こうした解決先を身体に覚えさせると、即興中にも迷いにくくなります。

ブルース進行なら、主音のブルーノートスケールを通して弾ける

ブルース進行では、コードが変わっても、曲全体の主音を基準にしたブルーノートスケール一つでアドリブを組み立てる方法があります。Cのブルースであれば、Cブルーノートスケールを使い続ける考え方です。

これは、すべてのコード進行に同じように適用できるという意味ではありません。コテコテのブルースでは、進行全体に共通する音の色として機能しやすい一方、複雑なジャズスタンダードの上で同じスケールだけを使い続けると、コードとの関係が単調になったり、調性との摩擦が大きくなったりします。

まずは、音の材料を増やすよりも、限られた音でリズムと解決を作る練習として使ってみましょう。

12小節を音の配置で見る

Cのブルース進行では、一般的にCを中心とする部分、Fへ移る部分、そしてGやFを経由してCへ戻る部分があります。ここで大切なのは、コードが変わるたびにスケールを入れ替えることではありません。

最初の段階では、次の三つに集中してみましょう。

  • C、E♭、F、G♭、G、B♭の六音だけで弾く
  • フレーズの終わりをC、E♭、G、B♭のいずれかに置く
  • G♭はFまたはGへ短く解決する

左手がルート音を弾いているだけでも構いません。右手は長いスケールを走らず、二拍または四拍の短いモチーフを作ります。

たとえば、最初の小節で、

C―E♭―F―G♭―G

と弾いたら、次の小節では音を増やさず、リズムだけを変えます。

C―E♭、休符、F―G

このように、音の数を増やす前に、休符を入れてみましょう。アドリブでフレーズが途切れてしまう人は、音をつなぎ続けることで何とか埋めようとしがちです。でも、短い休符があると、その前の音が聴き手の中に残ります。

コードが変わったときの聴き方

Cブルーノートスケールを通して使う場合でも、コードが変わったことを無視する必要はありません。左手や伴奏の響きを聴きながら、同じ音の中で重心を移していきます。

Cのコードでは、CやGを落ち着きのある音として扱いやすいでしょう。Fのコードへ移ったら、FやCを意識すると、右手のラインが伴奏に寄り添いやすくなります。Gのコードでは、GやB♭を足場にしながら、G♭からGへ解決する動きも使えます。

このとき、理論上のコードトーンをすべて説明しようとしなくても大丈夫です。まずは、伴奏が変わった瞬間に、右手の着地点を一音だけ変えてみます。

伴奏の中心右手で意識しやすい着地点♭5の扱い
C、G、E♭G♭からG、またはFへ進む
F、C、E♭G♭を短く挟み、Fへ戻る
G、B♭、CG♭からGへ解決する
Cへ戻る部分C、E♭、G最後の着地を急がず、余韻を残す

この表は、弾く音を限定するための規則ではありません。右手が迷子になったときに戻れる、簡単な地図です。演奏中に全部を思い出そうとすると身体が固くなるので、まずは一小節ごとに一つの着地点だけを選んでみましょう。

定番フレーズを丸暗記せず、三音の動きから育てる

ジャズ アドリブ ブルーノートの練習では、長いフレーズ集をそのまま覚えるより、短い音の動きを自分の中へ入れるほうが役に立つことがあります。

特に、次の三音はブルーノートスケールの中心的な動きです。

  • F―G♭―G
  • G―G♭―F
  • E♭―E
  • B♭―G
  • C―E♭―F

これらを、まずは一つのリズムで弾きます。次に、音の順番を変えずにリズムだけを変えます。最後に、始める場所と終わる場所を変えてみましょう。

練習例1:F―G♭―Gを一拍に入れる

右手でF―G♭―Gを三連符として弾き、Gを次の拍まで少し保ちます。最初は、G♭がきちんと聴こえなくても構いません。Gへ向かう動きが途切れなければ、役割は果たしています。

次に、同じ三音を裏拍から始めます。ジャズらしいフレーズは、拍の頭だけから始まるとは限りません。裏側から音が入ると、身体が少し前へ進むような感覚が生まれます。

ただし、リズムを複雑にするのは、音の動きに慣れてからで大丈夫です。指がまだ迷っている状態でシンコペーションを重ねると、音楽ではなく運指の問題になってしまいます。

練習例2:G―G♭―Fを下降させる

GからG♭、Fへ降りる三音は、フレーズの終わりに置きやすい形です。Fで止めてもよいですし、さらにE♭、Cへ進んでもよいでしょう。

G―G♭―F―E♭―C

この下降ラインを、すべて同じ音量で弾かないようにします。Gを少し示し、G♭を短く通り、FとE♭を柔らかくして、Cで落ち着かせます。

ここで、音を急いで小さくする必要はありません。音量の差がほんの少しあるだけでも、フレーズの向きは伝わります。右手の指の腹が鍵盤に触れる時間を意識すると、音の長さと重さを調整しやすくなります。

練習例3:E♭―Eをリズムのアクセントにする

E♭とEのクラッシュは、どこにでも入れればよいわけではありません。フレーズの中で一度だけ使い、そこを声のようなアクセントにしてみましょう。

たとえば、

C―E♭|E―G|B♭―G

という流れを作り、E♭からEの移動だけを少し強くします。これだけでも、マイナーペンタトニックにはない、明るさと陰りの混ざった響きになります。

E♭を弾くとき、指を鍵盤の奥へ押し込まないようにしましょう。Eへ移る準備を残したまま、軽く触れて離れる感覚です。二つの音を同じ場所に固定せず、手首ごと小さく揺らすと、力が抜けやすくなります。

F、B♭、Cの三つのキーで身体に覚えさせる

ブルーノートスケールの練習キーとして、F、B♭、Cは取り組みやすい組み合わせです。ブルースやジャズの現場で触れる機会も多く、音域を変えながら同じ動きを練習できます。

まずCで形を覚え、そのあとF、B♭へ移します。移調の目的は、十二のキーを一気に制覇することではありません。同じフレーズを別の場所で弾くことで、指が特定の鍵盤の並びだけに依存しないようにすることです。

Fブルーノートスケール

Fブルーノートスケールは、F、A♭、B♭、B、C、E♭です。

ここで♭5にあたるのはBです。B♭とCの間にBを挟む形が、CのキーでいうF―G♭―Gに対応します。

B♭―B―C

この動きを三連符で弾き、Cへ解決させてみましょう。黒鍵が多い場所から白鍵へ移るため、手の位置が安定しやすい人もいれば、Bの扱いに慣れが必要な人もいます。指先だけで鍵盤を探さず、手のひら全体の位置を感じてください。

B♭ブルーノートスケール

B♭ブルーノートスケールは、B♭、D♭、E♭、E、F、A♭です。

♭5はEです。E♭とFの間をEでつなぐ形になります。

E♭―E―F

このキーでは、E♭とEの半音関係が目立ちやすく、クラッシュ・ノートの練習にも向いています。E♭を軽く置き、Eへ触れ、Fへ進むという三段階を、ひとまとまりの呼吸で弾いてみましょう。

三つのキーを移動する練習

一つのフレーズを、次の順番で移していきます。

1. Cで、G♭からGへの解決を練習する

2. Fで、BからCへの解決に置き換える

3. B♭で、EからFへの解決に置き換える

4. それぞれのキーで、同じリズムを四回繰り返す

5. 最後に、三つのキーを一つの短いソロの中でつなぐ

移調すると、最初は指が止まりますよね。それは音楽的な才能の問題ではなく、手がまだ新しい地図を覚えている途中だからです。音を間違えても、リズムを止めない練習にしてみましょう。正しい音を探して沈黙するより、短く弾き直して流れを保つほうが、アドリブの身体感覚にはつながりやすくなります。

スケール練習から実際のアドリブへ移る手順

スケールを上下に弾けるようになっても、ソロになると急に何を弾けばよいか分からなくなることがあります。これは、音階を覚えていないからではありません。スケールがまだ、文章ではなく単語の集まりだからです。

アドリブでは、音の選択だけでなく、始まり、間、着地が必要になります。そこで、次の順序で練習してみましょう。

最初は二小節だけを使う

十二小節すべてを埋めようとすると、右手は音を詰め込みやすくなります。まずは二小節だけに限定し、最後の拍で一度休みます。

使う音も、C、E♭、F、G、B♭の五音から始めてください。そこへ、慣れてきたらG♭を一音だけ加えます。

ここでの目標は、たくさん弾くことではありません。最初の小節で提示した短い形が、二小節目でどのように終わるかを感じることです。

同じフレーズを三回繰り返す

同じフレーズを繰り返すと、即興らしさがなくなるように感じるかもしれません。でも、実際にはモチーフの反復があることで、聴き手は演奏の流れを追いやすくなります。

一回目はそのまま弾き、二回目は最後の音だけ変え、三回目でG♭からG、またはG♭からFの解決を加えます。

たとえば、

  • 一回目はC―E♭―F
  • 二回目はC―E♭―F―G
  • 三回目はC―E♭―F―G♭―G

という具合です。

音を一つずつ足すだけでも、フレーズに展開が生まれます。理論を増やす前に、自分の弾いた音が次の瞬間にどう変化したかを聴いてみましょう。

左手は最初から忙しくしない

右手のブルーノートを練習するとき、左手で複雑なテンションコードを押さえたくなることがあります。けれど、左手が忙しくなるほど、右手の解決音を聴き取りにくくなります。

最初は、左手でルート音を長く鳴らすだけでも十分です。慣れてきたら、低音を二拍目と四拍目に置く、あるいは簡単なシェル・ボイシングを加えます。

右手のG♭がFやGへ進んだことを、左手の伴奏の下でも聴き取れるようになったら、次の段階へ進みます。コードを複雑にすることが、必ずしもジャズらしさを増やすわけではありません。音の関係がはっきり聴こえることのほうが、最初は大切です。

うまく響かないときに見直したいこと

ブルーノートを弾いても、思ったような哀愁が出ないことがあります。そのとき、すぐに別のスケールを探さなくても大丈夫です。多くの場合、原因は音の選び方よりも、音の長さ、強さ、解決の位置にあります。

♭5を強調しすぎている

G♭を「ブルーノートだから」と強く弾きすぎると、前後の音との関係が切れてしまいます。まずは、G♭を他の音より小さく弾いてみましょう。

小さく弾くと存在感がなくなるように感じるかもしれません。でも、解決音のGがしっかり響けば、G♭の短い影も聴き手には伝わります。すべての音を同じ大きさで主張させず、音に役割を与えてみてください。

解決を急ぎすぎている

反対に、G♭を一瞬で通り過ぎると、ただの装飾音になり、ブルーノートらしい引っかかりが弱くなります。

この場合は、G♭の前にあるFを少し長くします。Fで流れを作り、G♭に触れ、Gへ着地する。三音の間に呼吸を入れることで、経過音の存在が見えやすくなります。

リズムがまっすぐすぎる

音は合っているのにジャズらしく聴こえないときは、すべての音が拍の頭に並んでいるかもしれません。まずは一つの音を裏拍から入れてみましょう。

たとえば、F―G♭―Gの三音を、拍の頭ではなく、前の拍の裏から始めます。テンポを上げる必要はありません。ゆっくりしたまま、音の入り口だけをずらしてみます。

リズムの変化は、難しいフレーズを覚えるよりも大きく印象を変えることがあります。右手が走りそうになったら、音数を減らし、休符を一つ置いてください。

ブルーノートを使いすぎないための耳の整理

ブルーノートスケールは魅力的なので、覚えたばかりの頃は、どの小節にも♭5を入れたくなります。私も、理論上使える音を見つけると、つい全部の場所で試したくなる気持ちはよく分かります。

ただ、♭5の濁りは、何度も続くと輪郭が薄くなります。ここぞという場所に置くからこそ、解決した瞬間が耳に残ります。

一つのソロの中で、♭5を使わない小節をあえて作ってみましょう。マイナーペンタトニックだけで二小節弾き、そのあとに一度だけ♭5を入れます。すると、G♭そのものではなく、G♭が入る前後の空気まで聴こえてきます。

使い分けの目安としては、次のように考えると自然です。

  • フレーズを少し曇らせたいときに♭5を入れる
  • 4度から5度へ進む途中で、動きを強調したいときに使う
  • フレーズの終わりで、着地点へ向かう緊張を作る
  • E♭とEのクラッシュで、声のような揺れを出す
  • 同じ小節で何度も繰り返さず、余白を残す

このように、ブルーノートを特別な飾りではなく、フレーズの方向を示す音として扱うと、音楽全体が落ち着いてきます。

耳コピーでブルーノートの解決を身につける

ジャズのフレーズを耳コピーするとき、最初から長いソロをすべて採譜する必要はありません。ブルーノートらしい短い動きを見つけたら、まず三音から五音だけを取り出します。

聴くポイントは、♭5が使われているかどうかだけではありません。

  • どの拍に入っているか
  • ♭5の前にどの音があるか
  • ♭5のあとにどの音へ進むか
  • その音が強く弾かれているか、軽く触れられているか
  • フレーズの中で何回繰り返されているか
  • 解決したあとに休符があるか

耳コピーでは、音名がすぐ分からなくても構いません。まずは声で歌ってみましょう。歌えない音は、まだ身体に入っていないことが多いからです。

G♭からGへ進む短い動きを、口で「んー、上」と歌ってみる。E♭からEへ擦れる感覚を、声でまねてみる。そのあと鍵盤で探すと、指だけで音を当てるよりも、フレーズの方向が見えやすくなります。

録音を使う場合も、長時間を一度に聴かず、二小節ほどを繰り返します。音を見つけたら、原音に合わせて弾くだけでなく、少し違うリズムで弾いてみましょう。コピーしたフレーズを自分の呼吸に合わせ直すことで、単なる引用から、自分の語彙へ変わっていきます。

仕上げは、音数ではなく一音の行き先を聴く

ブルーノートスケールの練習を始めると、もっと速く、もっと多くのフレーズを弾きたくなります。その気持ちは自然です。ただ、♭5をジャズらしく響かせるために必要なのは、複雑なスケールの追加ではありません。

Cブルーノートスケールの六音、C・E♭・F・G♭・G・B♭を使い、まずG♭からFまたはGへ進む動きを身体に覚えさせる。E♭とEをクラッシュさせ、短い揺れを作る。そこへ休符とリズムのずれを加え、二小節のフレーズを何度も聴き直す。

この順番なら、理論が手の動きを置き去りにしにくくなります。音階を覚えることと、音楽として話すことは別の作業ですが、二つをゆっくり結びつけていけば大丈夫ですよね。

♭5は、間違えてはいけない危険な音ではありません。長く留まるのか、短く通り過ぎるのか、どこへ解決するのかを耳で選べるようになると、濁りはそのまま表情になります。

今日の練習では、CのキーでF―G♭―Gだけを取り出し、ゆっくり三連符で弾いてみましょう。音が途切れても、G♭が少し強くなっても構いません。呼吸を戻して、次のGへ向かえば十分です。

まずはこの1小節だけで十分です。そこに一つの解決が生まれたら、あなたのアドリブはもう、スケールを並べるところから一歩進んでいます。

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よくある質問

ブルーノートスケールの構成音は何ですか?
Cを主音とする場合、構成音はC・E♭・F・G♭・G・B♭です。マイナーペンタトニックにG♭を加えた6音の音階です。
ピアノでブルーノートスケールの♭5はどう使いますか?
Cのブルーノートスケールでは♭5はG♭で、FまたはGへ短く解決させます。G♭を長く伸ばすより、FとGの間の経過音として使うと流れが保たれます。
ピアノでベンド感を出す方法はありますか?
クラッシュ・ノート奏法を使い、E♭とE、またはG♭とGを素早く連続して叩いたり、同時に鳴らしたりします。ブルーノートと解決音の時間差や音の長さを変えることで、音程が揺れるような印象を作れます。
Cのブルースで使えるブルーノートスケールは何ですか?
Cのブルースでは、C・E♭・F・G♭・G・B♭からなるCブルーノートスケールを進行全体で使う方法があります。コードが変わったら伴奏を聴き、右手の着地点をC、F、Gなどへ移します。
ブルーノートスケールをアドリブに取り入れる練習手順は?
まずC、E♭、F、G、B♭の五音で二小節の短いフレーズを作り、慣れてからG♭を一音だけ加えます。同じフレーズを三回繰り返し、最後の音を変えたり、G♭からGまたはFへ解決させたりします。

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