
Next.』は、2016年のオンラインイベント「The Future Redefined.」から10年の歩みを振り返りながら、これからの楽器体験を示そうとする試みです。
ピアノを弾く私たちにとって特に気になるのは、デジタルピアノ「FP-40」と学習アプリ「Piano Sphere」の存在ですよね。ローランドが中期経営計画で掲げる「Direct Connect」という戦略が、じつは日々の練習そのものに関係してくるからです。ジャズピアノを上達させたい、でも独学は孤独で続かない——そんなあなたにこそ、少しだけ耳を傾けていただきたい内容です。
「弾く」から「つながる」へ——FP-40という選択
私がセッションの現場で学生たちに教えているとき、決まって出てくる悩みがあります。「テンポが上がると左手が動かない」「フレーズの途中で息が切れる」——本当にリアルな身体感覚の声です。ジャズピアノの独学は、どこかで必ずこうした壁にぶつかります。コード理論を覚えるのも、アドリブを組み立てるのも、結局はコツコツ積み上げるしかないのが現実ですよね。
そんな孤独な練習の景色を、少しだけ変えてくれそうなのがFP-40とPiano Sphereの組み合わせです。ローランドは楽器にWi-Fiを内蔵し、ハードウェアとデジタルサービスを直接つなぐ「Direct Connect」戦略を進めています。FP-40はこの戦略を具現化したデジタルピアノで、対応アプリPiano Sphereと連携することで、ガイド付きレッスンやインタラクティブな学習ツール、リアルタイムなフィードバックといった環境にアクセスできるようになるのだそうです。
特に関心したのは、Piano Sphereが世界的なピアノ練習アプリ「Skoove」を展開するLearnfield社との協業で作られているという点です。つまり、ローランドのハードウェアのよさと、長年ピアノ学習者と向き合ってきたサービスの知見が合わさっているというわけですね。私たちのピアノが、「ただ弾く道具」から「隣で励まってくれる先生」へ少しずつ変わっていく。そんな未来を、この一台が先取りしてくれています。
10年という節目にみる「過去・現在・未来」
特設サイトのもう一つの魅力は、2016年の「The Future Redefined.」を振り返る「Then」のパートです。当時、世界8都市から同時配信されたこのオンラインイベントは、30機種以上の新製品を一気に世に送り出すという、当時としてはとても画期的な試みでした。電子管楽器の「エアロフォン AE-10」、BOSSの「KATANA」ギターアンプ・シリーズ、電子ドラム「V-Drums TD-50キット」、シンセサイザー「SYSTEM-8」——どれも今の音楽シーンを支える存在ですよね。V-Drums TD-50に搭載された「Prismatic Sound Modeling」やSYSTEM-8の「PLUG-OUTテクノロジー」は、ハードウェアとソフトウェアの垣根を取り払う先駆けとなりました。
代表取締役社長CEOの蓑輪雅弘さんは、2016年のイベントを「インターネットを通じて、お客様とのつながり方を大きく変えた画期的なイベントだった」と振り返り、その精神が現在の製品開発にも受け継がれていると語っています。2026年9月から10月にかけては、ピアノやドラム、ギター関連、シンセサイザー、プロフェッショナルA/Vの各分野で、10機種以上の新製品発表が予定されているとのこと。そして特設サイトでは、未来の楽器体験を探求する「Roland Future Design Lab」の研究内容も順次紹介されていくようです。
まずは「気になる一台」をのぞくことから
ジャズピアノの上達において、道具がすべてを決めるわけではありません。でも、ときに新しい環境が気持ちを軽くしてくれることは確かです。「今日はあのアプリの課題に取り組んでみよう」——そんな小さな一歩が、何日もの停滞を静かに解いてくれることもあります。
10年前にあのイベントで胸を躍らせた方も、最近になって電子ピアノを始めた方も、まずは特設サイトをのぞいてみてください。ピアノ、ドラム、ギター、シンセサイザー——自分のフィールドに関わる「次のヒント」が見つかるかもしれません。最初は気になる情報を一つだけチェックする、それだけで十分ですよ。手を動かすのは、そのあとでいいんですから。