
矢代秋雄 没後50年 記念コンサート開催
報じられたのは、まだ「一行の予告」だけ
今回のニュースで私たちの手元にある情報は、かなり限定的です。「矢代秋雄 没後50年 記念コンサート開催」という一行と、それがExcite エキサイトに掲載されたという出处のみ。会場、出演者、曲目、チケット発売日——演奏者にとって実用的な詳細は、まだどこにも確認できません。
つまりこれは、「スケジュール帳に書き込む」段階ではなく、「行きたい気持ちを、自分の側で育てる」段階の話題ですよね。続報を待つ間に、私たちにできることがあります。情報の少なさに焦る必要はありません。むしろ「情報がまだ薄い今だから」できることがある——そう考えるのが、ジャズ奏者の私たちらしい距離の取り方かもしれません。
自分の耳と指で、矢代秋雄の世界を覗いてみる
コンサート情報がまだ薄いからこそ、いま私たちにできるのは、自分の側で矢代秋雄の音楽に触れてみることです。CDやサブスクリプションの配信サービス、あるいはお近くの公共図書館の視聴覚資料室——どこかで彼の作品を探してみてください。構えなくていいので、まずは一曲、5分だけ耳を預けてみましょう。
ジャズ奏者にとって、初見の近代洋楽は最初はとっつきにくいものです。私もかつて、見慣れない音符が密集したページを開いて「本当にこれを弾く日が来るのだろうか」と頭を抱えた経験があります。拍感がつかめない、転調のたびに指が迷子になる——そんな夜もありました。でも、不思議なもので、指の腹で和音をひとつ鳴らした瞬間に、頭で考えていた理解と、身体で感じる理解が合流していくんですよね。そこから先は、弾くほどに馴染んでいきます。
もし楽譜が見つかれば、冒頭の1ページだけ開いてみましょう。テンポ記号と調号を確認し、最初の和音を鍵盤で鳴らす。それだけでじゅうぶんです。ジャズ特有のテンション・ヴォイシングを考えるとき、彼の和声の選択肢が、自然と頭に浮かぶ——そんな出会いを一度味わってみてください。
最初はきっと、指が「こんな音、弾いたことない」と戸惑うはずです。でも、その戸惑いこそが、新しい響きとの出会いへの扉になっています。譜読みを完成させようとしなくていい。今日は最初の和音だけ、明日は次の小節へ——そんなペースでいいんですよね。
矢代秋雄の音楽は、けっして「難しいから手を出すな」という顔はしていません。丁寧に耳を預けさえすれば、たくさんのヒントを返してくれます。ジャズ・ピアノを弾く私たちにとって、彼の和声感覚は、実に自然な親和性を持っているはずです。
続報を少しだけ追いかけつつ、できることをひとつ
コンサート情報の続報は、これから徐々に出てくるはずです。出演者、曲目、会場、チケット販売開始日。ジャズを演奏する私たちがクラシックのコンサートに臨むときは、「自分の耳と指を鍛えてくれる時間をもらう」くらいのつもりでいると、ちょうど良いですよね。難しい曲を完璧に理解しようとしなくていい。会場の空気と生の響きに触れること、それだけで私たちの演奏は、静かに変わっていきます。
私たちが鍵盤の前で培ってきたリズムの感覚は、生の演奏を聴くことで驚くほど磨かれます。フレーズの「溜め」、ペダルの使い方、呼吸のタイミング。スコアだけでは読み取れないこうした要素は、客席で息を潜めて聴いているうちに、自然と身についていくものです。演奏会の余韻を会場から持ち帰る——そんなふうに、コンサートを「自分の一曲」にしてみるのもいいですよね。
そしてもうひとつ、コンサートが近づいてきたときにやってみたいことがあります。それは、「この一曲だけは、生で聴きたい」という曲をひとつ決めておくこと。プログラム全体に詳しくなる必要はありません。たった一曲のつもりで席に座る。それだけで十分、自分の演奏の何かが動き出します。
焦らなくていいんです。会場や日時が決まる前に、まず今夜一杯のコーヒーを淹れて、彼の作品を一曲だけ再生する。その小さな一歩が、半世紀という節目を、自分の演奏史のなかに迎え入れるいちばん自然な方法だと思います。
まずは一音、一小節。それでじゅうぶんです。
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